事業者必見!マイナンバーで変わる年末調整手続き!
2015年の10月から通知がスタートしたマイナンバーは税金や社会保障、災害対策の行政手続きで必要不可欠な存在となります。
特に実際の運用が始まる2016年以降は、年末調整の手続きを行う事業者の皆さんにも影響が出てきますので、年末に慌てないためにも当ページを読んで予備知識を習得しておくようにしてください。
マイナンバーの記載が必要となる書類は?
マイナンバーの記載が必要となる年末調整と関係する書類は、下記の3種類となります。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・配偶者特別控除申告書
・保険料控除申告書
マイナンバーの記入漏れがあると年末調整の手続きができなくなりますので、社長・オーナー事業主の方は「上記3つの書類の記入法が変わる」ということを、総務や給与担当者に教えてあげてください。
ここからは、年末調整手続きで必要となる書類の、マイナンバー導入後の注意点を解説していきます。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
配偶者控除や扶養控除、障害者控除などを受ける際に必要な書類です。
この書類は会社で働いている本人だけでなく「扶養家族のマイナンバーも必要」という特徴があるため、事業主の皆さんは扶養家族のマイナンバー収集を行う必要があると言えそうです。
個人情報管理に厳しい扶養家族の中には、「事業者側に自分のマイナンバーを教えたくない!」という人が出てくることも懸念されるため、もし本人以外のマイナンバー収集が難しい場合は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を配布して自宅で記入してもらう」という方法を取っても良いでしょう。
マイナンバー導入年の2016年はさまざまなシーンで混乱が生まれることが想定されますので、普段よりも早く年末調整の準備を始めた方が良さそうです。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/kisairei_h28.pdf
配偶者特別控除申告書
配偶者控除を受けるために、配偶者の名前や給与所得、事業所得などを記入する書類です。2016年以降はマイナンバー記入欄が設けられますので、この書類にも必ず正しい数字を記載するようにしてください。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/kisairei_h27_05.pdf
保険料控除申告書
前述の配偶者特別控除申告書とセットになっている書類です。
「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の右側が、保険料控除申告書となりますので、「書類が足りない!」というトラブルのないように、きちんとチェックをしてマイナンバーの記入を行ってください。
マイナンバーの記入が要らない書類もある!
年末調整手続きでマイナンバーの記入が要らない唯一の書類は、「住宅借入金等特別控除申告書」となります。
マイナンバー制度が始まっても年末調整書類に含まれる住宅借入金等特別控除申告書ですが、実務上は従来と変わらないという特性があるため、「マイナンバー記入欄がない!」というパニックに陥らないようにしてください。
マイナンバー導入後の注意点① 本人確認
事業者が従業員からマイナンバーを取得・収集する際には、必ず「マイナンバー番号+身元が確認できる書類」をセットにした本人確認をする必要があります。
マイナンバーが記載されている個人番号カードには、本人の氏名と番号の両方が記載されていますので、「従業員からカードを見せてもらう」という方法でも本人確認ができるのです。
また従業員が通知カードを持参した場合は、運転免許証や健康保険証などの併用確認という方法もありますので、従業員と事業主の両方に負担の少ない確認法を見つけてみてください。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」への記入が必要となる扶養家族の本人確認には、「扶養者である従業員が行うこと」というルールがあります。
マイナンバー導入後の注意点② 事業者側の監督責任
マイナンバーを記載した年末調整書類を従業員が紛失し、扶養家族のマイナンバーが漏えいした場合でも、事業者が監督責任を問われることはありません。
マイナンバー制度の中では、年末調整手続きを行う事業者は「委託されている」という考え方となるため、従業員による年末調整書類の紛失や漏えいについても「監督義務がない」と言えるのです。
マイナンバー導入後の注意点③ 利用目的
マイナンバーを収集する際には、必ず従業員本人に対して「利用目的」を明示するようにしてください。
「年末調整用として使う」と明示していたマイナンバーは、社会保険などの手続きに流用することはできません。
マイナンバー導入後の注意点④ 管理
従業員から取得したマイナンバーは、漏えいや紛失のないように、きちんとした管理を徹底するようにしてください。
漏えいや紛失、欠損などが生じた場合は、特定情報保護委員会から勧告や指導を受ける形となりますので、トラブル回避という意味でも「マイナンバーの管理ルール」を定めておく必要があります。
まとめ
マイナンバー導入後初の年末調整となる2016年は、書類の記入だけでなく、マイナンバーの取得や管理についてもさまざまな作業が生じると言えそうです。
手続きの遅延を起こさないためにも、今回ご紹介したポイントに注意して早めに準備をするようにしてください。
この記事の監修者
税理士 佐藤 修(サトウ オサム)
社会保険労務士、ファイナンシャル・プランニング技能士
経歴
税理士事務所で働きながら学んできた知識や経験を活かし、税理士専門
お役立ちコラムの運用を行う。